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2025/01/23 08:54 |
39日目日記ログなんよ~
~39日目 3匹の日記より~
~吹き荒れる記憶~

長い とっても長い通路を歩いていた

右は崖 そして川
左も崖 そして川

ずっと風が吹いている
小さかったり 大きかったり
ずっとずっと 吹いている

そんな通路を 私達3匹は歩いていた






「ころ・がり~♪」

「こーらアルマ、崖に落っこちたらどうするのよ?」

「大丈夫やよー、こぉーんな真っ直ぐな道なんやもん~。」

「ぎゃうー。」


そう、この道はひたすら真っ直ぐだった。
私達が暮らしていた森を抜けて、さらにさらに奥へと進んだ場所。
一本道なのを良い事に、アルマはずっとこんな調子で転がってる。
ミィはミィで、アルマを追いかけて走ってるし。

まったくもう、さっきからどんどん風が強くなってるのに…。
急に吹かれて落っこちたら、また川下まで逆戻りなのにね。
いつもいつも、心配するのは私だけなんだから…。


「あーあ。…私も走っちゃおうかな。」


アルマ達に追いつこうと、強く羽ばたいて速度を上げる。
そんな時だった、…彼女が降って来たのは。




ゴォォォォォォ………!

「・・・タマ持ちか。実力者というわけだ。」





上空から響いてくるのは、冷め切った、鋭い声。
(この感じ…まさか…)

…覚えがある、あれは大樹の下で出会った、蒼い髪の姉妹と同じ。
何も聞かず、話す余地も与えず、ただ必要に応じて襲い掛かってくる相手。
(彼女も、宝玉の守護者…?)



ゴォォォォォォ………!!



考える暇もなく、私の軽い体は嵐の中へと引き込まれそうになった。

ヒシッ

けれど、直ぐに暖かいものの中へと固定される。
アルマが私を抱きしめていた、私が吹き飛ばされないように。…それとも、私にしがみつくように?
私には、今のアルマの表情がどちらなのか、判断は出来ないけど。

ミィもアルマの足元に、しっかりとしがみ付いている。
…大丈夫、私達は離れていない。



ゴォォォォォォ………!!!



巨大なランスが、私達へと向けられていた――





~吹き荒れる記憶~

かぜが ふいていました
かぜを ふかせていました

わたしたちが わるいの?
わたしたちが きらいなの?

わたしが
わたしが あやまれば

ゆるして もらえるのですか?






「ぎゃ、うぅ………」


頭をふせて、わたしはふるえていました。
槍を持ったお姉さんは、とっても、こわいと思いました。
わたしは、泣いてしまいそうでした。


「大丈夫やよ、ミィちゃん。ここで待っててな?」


アルマお姉ちゃんが、言いました。
わたしの頭を、なでてくれました。
だけど、お姉ちゃんの顔は、いつもとちがって、見えました。


「あ、アルマ…?」

「サっちゃん、ミィちゃんの事頼むね?ウチ、頑張って来るかんね…?」

「何言ってるのよ…、あんなおかしな人間と戦う必要なんてないじゃない。早く逃げよう…?」

「ううん…、逃がしてくれへんから。ウチが、…やらな。」


アルマお姉ちゃんが、立ち上がりました。
ずっと、風がふいています。
それなのに、お姉ちゃんは、立っていました。

わたしの方が、おっきな体なのに。
わたしは、こわくて立ち上がれないのに。
お姉ちゃんは、立っていました。


「アルマ!だったら私も、戦うから。一緒だったら…。」

「サっちゃんは、ミィちゃんを守っといて。そうやないと…、ウチ、安心出来ひんよ…。」

「………アルマ?何でっ……。」


サチお姉ちゃんは、悲しそうでした。
アルマお姉ちゃんは、もう1回微笑んでから、ころがりました。
だけどそれは、いつものお姉ちゃんとは、ちがって見えました。



「…ふん。地霊の者か、小癪な。」



お姉ちゃんが、ころがった道。
つぎつぎと、土や石が、跳ねました。
気がつけば、おっきな石のはしら。ころがった道に、たくさん。

わたしの前を通って、わたしの前に石のはしら。
風が少し、弱くなりました。

たくさんの石のはしらに囲まれて、槍を持ったお姉さんは、動けなくなりました。
風がもっと、弱くなりました。



「…ごめんな?」



お姉ちゃんがそう言って、石のはしらは砕けました。
槍のお姉さんは、見えなくなりました。



風が、止みました――





~吹き荒れる記憶~

ウチは

サっちゃんを
ミィちゃんを

動物達を 守りたいの
そうやよ 守りたいの

ただ それだけやの

………






「はぁっ…、はぁっ……。」


粉々に砕けて、砂にまみれた地面の上に、へたり込む。
ウチが出した石の柱は、ウチが思ってたより、ずっと馴染んでた。
作るのも、動かすのも、…砕くのも。全部、ウチが思ったとおりに。

ウチはアルマジロやから、大地の力だって、借りれるんよ。
おかしな事や、ないやんね…?ウチ、おかしくないやんね…?

間違ったこと、してへんやんね…?


「…サっちゃん、ミィちゃん。怪我してへん?…砂、目ぇ入らんように気ぃつけてな?」

「…ぁ、うん。」


サっちゃんが、軽く目を擦ってる。
砂、入っちゃったんかな。ごめんな…?
ミィちゃんも、まだ小さく震えたままやった。

何とか立ち上がって、2匹に近づこうとする。
そしたら、砂だらけの地面が盛り上がって…。


「地霊なんて嫌いだ。」


なぁんにも怪我せんと出てきた槍のお姉さんは、ぱたぱた埃を払って、そんな事言っとる。
…あれ、元気そうやね?
ウチ、てっきり、あの子らみたいに……。
蒼い髪の女の子達みたいに、なっちゃうんかと、思ぅてたのに。


「まぁいいだろう・・・お前にこれを渡す。」


そう言うとお姉さんは、下の川へと落ちていった。
紫色に輝く、一つの珠を残して。
…やっぱりこれも、宝玉なんかな?
冒険者さんらが、必死になって集めてる、この島の宝物。


「貰っちゃった。…どないしょうか、サっちゃん?」

「………アルマが欲しいって言うなら、持ってても、良いんじゃない?」

「そうかなぁ?…それやったら折角やし、貰っとくね!」

「………うん。」



やっぱりサっちゃんは、元気がないみたいやった。
しゃあないよね、あのお姉さん、怖い人やったから。
まだ震えるミィちゃんを支えて、3匹でゆっくりと魔方陣へ歩きだす。

………少し、休んでもえぇやんね?
人間さんの街に行って、また一緒に、お買い物して、美味しいもん食べて。

それで、それで…。

元気、出してくれるやんね。



…サっちゃん。


「ならばこのエリザ、相応の力で・・・・・・貴様を落とすッ!!
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2008/05/18 02:38 | Comments(0) | TrackBack() | 日記ろぐ

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