~14日目、アルマの日記より~
~前日のあらすじ~
昨日の訓練相手は、狼くんと殺人蜂のサっちゃん。
ウチ一匹で二匹と戦う事になったんよ。
すんごい苦戦したけど、何とかギリギリで勝利。
その日は3匹で怪我治してお休みしたんやけど、その翌朝に…
昨日の訓練相手は、狼くんと殺人蜂のサっちゃん。
ウチ一匹で二匹と戦う事になったんよ。
すんごい苦戦したけど、何とかギリギリで勝利。
その日は3匹で怪我治してお休みしたんやけど、その翌朝に…
殺人蜂「アルマ、いい加減起きなさいよ。相変わらずの寝ぼすけね?」
その日は、サっちゃんのそんな声で目が覚めたの。
ウチが居るのはどこかの平原の真っ只中。
地面に小さく穴を掘って、その中で眠っとったんよ。…サっちゃんを抱きしめたまま。
アルマ「…あれ、サっちゃん、何でウチと一緒に寝てんのん?」
殺人蜂「あなたが私を抱き締めたまま放さなかったからでしょうが!昨日の事ぐらい覚えてなさいよ、まったく。」
サっちゃんが盛大にため息付くの。
そうやったかなぁ?…うん、そうやったかもしれんね。
しゃあないやないの、サっちゃん抱き締めると気持ちえぇんやもん。
殺人蜂「狼なら先に起きて朝ご飯食べてるわよ、アルマも早く食べて出発なさい?」
アルマ「うん、そやね。……なぁサっちゃん、昨日の事なんやけど。」
恐る恐る、サっちゃんに話しかけてみたの。
昨日言おうとして言えんかった事、ウチが強くなりたいホントの理由。
サっちゃんを、島の皆を守りたいって。
それ聞いたら、サっちゃんやったら笑うんかな…。
アルマ「あんな、サっちゃん。ウチな………―」
狼「ごちそうさまぁーッ!早く昼飯喰いてぇーッ!」
そしていつもの様に、ウチの言葉を遮る狼くんの叫び声。
朝からこの子は、元気えぇねぇ…。それが狼くんのえぇ所なんやけど。
…もう、何や言う機会逃しちゃったやないの。
サっちゃんと小さく笑い合って、ウチらもご飯食べようとしたの。
バサバサバサバサ
そん時やよ、上空を大きな影が横切ったのは。
大きな羽音を響かせて、ウチらの前に降りてくる。
大鳩兄ぃさん?……ちゃうよね、あの動物さんは……
狼「来たかぁーッ!今日の相手は俺達2匹だぞぉーッ!終わったら昼飯喰って良いかぁーッ!?」
そう叫んで、狼くんが姿勢を屈める。
狼くんの戦闘準備、今すぐにでも飛び掛ってくる体制。
うぅん、けどホンマに怖いのは狼くんやないの、その後ろの…。
大鳥「ヤる、ヤる、ヤる。ヤる!ヤるゥッッ!!」
彼は大鳥さん。
目をギラギラに血走らせて、いつも叫んどる島の動物。
狼くんと違って、もっともっと怖い目しとるケモノやよ。
その大鳥さんの目が、ウチをギロっと睨んどるの。
殺人蜂「ちょ、ちょっと!何でそんな危険動物が相手なのよ!?ソイツは前にも他の動物を怪我させて、それどころかっ……!」
サっちゃんが慌てて止めようとする。
けど、狼くんはご飯の前になると誰の話も聞かへん。
大鳥さんは…、よぅ知らんけど、聞いてくれそうにない。
この感覚、久しぶりやの。
大鳩兄ぃさんでホンキで怒られた時以来かなぁ…、体がガクガク震えとるんよ。
何で、怖いんかなぁ…。守りたいって、思ぅとる相手、やのに…。
殺人蜂「止めなさいって言ってるでしょ!?アルマに怪我させるつもりなら、私がアンタ達をっ!!」
サっちゃんが、その毒針を2匹に突きつけとる。
毒液を帯びて緑に染まる大きな針、ウチを庇う様に前に飛び出して。
…駄目やよ、そんなん。
ホンマはウチが、サっちゃんの事も、皆の事も、守らなアカンのに。
そうやよ、いつまでもサっちゃんに守ってもらってたらアカンの。
大鳥さんのこと怖がってても、アカンの。
皆ウチの大切な家族なんやから、ウチが守ったらなアカンやないの!
アルマ「大丈夫やよ、サっちゃん。ちゃんと皆の事守れるぐらい、強ぅなるからね。…見といてな?」
いつまでも逃げてられへん。
皆の為に、ウチは強くなるんやっ!
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