~16日目、アルマの日記より~
~前日のあらすじ~
凄く大きくて優しくてカッコよくて、そして強い大蛞蝓さま。
ウチとサっちゃんは、全力で大蛞蝓さまに向かって行ったの。
勝てへんくても、サっちゃんと一緒に頑張りたかったから。
だけど…ウチが力尽きる直前、
大蛞蝓さまの巨体が、森の中へと倒れたんよ。
…ウチら、勝ったの?
あんなに強くて大きい大蛞蝓さまに、勝てたの…?
凄く大きくて優しくてカッコよくて、そして強い大蛞蝓さま。
ウチとサっちゃんは、全力で大蛞蝓さまに向かって行ったの。
勝てへんくても、サっちゃんと一緒に頑張りたかったから。
だけど…ウチが力尽きる直前、
大蛞蝓さまの巨体が、森の中へと倒れたんよ。
…ウチら、勝ったの?
あんなに強くて大きい大蛞蝓さまに、勝てたの…?
ポカンと2匹で口を空けて、その巨体が倒れていくのを見つめる。
ウチもサっちゃんもボロボロで、立つ事も出来んくらい。
ペタンと地面に座り込んで、膝の上にサっちゃんを抱えて、ボンヤリと。
何も言えんで呆然としてたら…、突然大蛞蝓さまの巨体がムクリと起き上がったの。
大蛞蝓「ははは、おめでとう!アルマちゃん、サチちゃん。キミ達の勝ちだよ!(歯がキラーン)」
そう言って、爽やかな白い歯を見せて笑ってくれる大蛞蝓さま。
………あれ?ついさっきまで倒れとったとこやのに?
サチ「…手を抜きましたわね、大蛞蝓さま?」
大蛞蝓「おや、バレてしまったかね?流石はサチちゃんだ(歯がキラーン)」
え、えっ?手ぇ抜いたって…。
そんなぁ、ウチら一生懸命頑張ったのにっ!
ホンマに勝てたんかと思ぅたやんかぁ…。
アルマ「ヒドイわ、大蛞蝓さまぁ。」
大蛞蝓「ふふっ、確かに僕が悪かった。だがこの試合の目的は僕に勝つ事でも、ましてや君たちを傷つける事でもないのだよ?(歯がキラーン)」
大蛞蝓さまがその爽やかな笑顔を、ウチらへと近づけてくる。
…この試合の目的?
それって確か、ウチとサっちゃんが…
大蛞蝓「キミ達はどうだったのかな。こうして一緒に戦ってみて、思う所はあったのだろう?それこそがこの試合の目的さ(歯がキラーン)」
サチ「私と、アルマが…」
アルマ「ウチと、サっちゃんが、一緒に…?」
自然と、お互いに顔を見合わせる。
サっちゃんが後ろにおって、すごい安心したこと。
サっちゃんを護らなアカンって、大蛞蝓さまのタックルを全部受け止めたこと。
倒れそうになっても、サっちゃんが勇気づけてくれたこと。
…こうして戦えたんは、全部サっちゃんが居てくれたからやの。
サっちゃんが居てくれるだけで、ウチはこんなに頑張れるんよ。
一緒に居れて、すんごい楽しかったもん。
サっちゃんの顔を覗いてみたら、何だか嬉しそうな、恥ずかしそうな、困ってそうな、不思議そうな。
そんな表情でウチの事を見つめとるの。
ウチも今、同じような表情でサっちゃんの事見とるんかな。そんな気ぃするの。
大蛞蝓「さて、僕はそろそろ行かないとね!今日も良い天気だからね、僕の事を待っているのは2匹だけじゃないのさ(歯がキラーン)」
そう言って大きな巨体を持ち上げて、森の奥へと帰っていく大蛞蝓さま。
ウチらは一緒に「ありがとうございます!」って、大きく叫んで見送ったの。
大蛞蝓さまのおかげで、大切な事が分かった気がするもん。…ホンマに、ありがとうね。
アルマ「なぁ、サっちゃん。」
大蛞蝓さまを見送ってから、ちょっと流れた静かな時間。
ウチはサっちゃんを抱きかかえたまま、そっと声をかけたの。
アルマ「ウチと、一緒に行こう?」
一緒に居たいもん。
すごく大切な存在やから、ずっと一緒に居たいの。
動物達皆を護りたい、人間さんとも仲良くしたい。
サっちゃんとも…一緒に居たい。全部ウチのホンマの気持ちやから。
けどサっちゃんは直ぐには答えずに、ウチの腕から飛び出して。
その針でツンツンしてくるの。
あはは、いつものサっちゃんやね。
やっぱり優しいサっちゃんより。こっちの方がえぇわぁ~。
サチ「なぁに言ってるのよ。アンタは元々私が居ないと何も出来ないじゃないの?ほら、今日はこっちに行くわよ、早く来る!」
アルマ「えっ、えぇっ!?サっちゃん、ちょっと待ってぇや~!!」
力強く羽音を響かせて飛び立つサっちゃん。
必死に追いかけて転がるウチ。
これからも一緒に居ろうな、…サっちゃん。
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